【 平成16年 第4回定例会(12月)-11月29日−02号 】

◆十二番(阿部喜見子君) 民主クラブの阿部喜見子です。
 冒頭に、新潟県中越地震被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い復興をご祈念いたします。
 中越地震、先の阪神・淡路大震災では、災害対策全般にわたり数多くの教訓を残しました。このような状況にかんがみ、墨田区が大規模な地震等により重大な被害を受けた場合に総合的な災害・復興対策をあらかじめ定めておくことは極めて重要であり、墨田区では、生命・財産の安全が保たれる災害に強い防災のまちを目指し、昭和五十四年に墨田区地域防災基本条例を制定し、大震災の発生による災害の未然防止に努めてまいりました。今年三月には六二・二%の不燃化を達成し、燃えない、壊れないまちづくりにも力を入れてきました。
 墨田区の住民意識調査の中にも墨田区の将来像で望むものとして「災害に強く犯罪が少ない安全・安心に暮らせるまち」が最も多く六四%を超えています。しかし十一月八日付けの新聞では、直下型マグニチュード六・九の地震が起きると都心部では、台東区、墨田区、江東区など隅田川に沿った低地では震度七の揺れが予想されると報道されました。
 そこで、区長並びに教育長に通告しました墨田区の防災対策についてお尋ねします。
 墨田区では災害時に一人で行動することが困難な障害者や高齢の方々、すなわち災害弱者を近隣住民の皆さんが手助けする住民同士の助け合いシステム、災害弱者サポート隊がつくられ、既にサポーターや避難行動に不安を持っている人が二千四百人以上登録されていると伺いました。災害からの復興は、行政の支援と区民の皆様が相互に助け合うことによって成し遂げられるものであり、地域住民の力を最大限に生かした対策が欠かせないものとなっています。この事業は、まさに地域住民の力を最大限に生かした事業だと言えます。
 しかし、問題は助けを必要とする災害弱者をきちんと把握できていないことではないでしょうか。墨田区も集合住宅の割合が五〇%を超え、核家族化が進み、地域のつながりが希薄化してきています。
 いざ、災害が起こるとサポーターとして登録していなくても、多くの区民の皆さんが近所の方を助ける手伝いをしていただけると思いますが、助けを必要としている人がどこにどのような状態でいるのか分からなければ助けることができません。個人情報の保護等の問題もありますが、回覧板やチラシの配布だけではなく、例えば地域の民生委員さんに敬老金等を配る際に、あわせて登録をお願いしていただいたりするなど災害弱者の方をきちんと把握していくことがこの事業の一番の重要なポイントだと考えています。また、時間がたてば転居や家族構成の変更等で新たに対象になる人や削除される人たちもいて、定期的な更新も必要になってきます。
 そこで、区として災害弱者の把握についてどのように考えているのか、区長にお尋ねします。
 また、区の職員が地域に在住し、日ごろ地域の方と密接な関係があれば、災害が発生した場合、サポーターとしても活動しやすく、交通手段が遮断されているときにでもすぐ現場に駆けつけることができるのではないでしょうか。区行政が災害が発生した場合に迅速に対応するためにも、区在住の職員を増やすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次に、災害時優先電話の管理と災害時の家族の安否確認について、お尋ねします。
 災害発生時は、被災地への安否確認等の電話の集中により通信設備の許容量を超えてしまい、電話がつながりにくくなります。過去の阪神・淡路大震災では全国から被災地への通話が平常時の約五十倍、宮城県沖地震では約三十倍、先月二十三日午後五時五十六分に発生した中越地震では六時ごろから平常時の約五十倍の通話状態となっています。そのため発信規制がかかり電話がつながりにくい状態になりました。
 災害時優先電話は、災害発生時、発信のみが優先扱いとなっており、着信については一般の電話と同じです。災害時の緊急連絡用として、かける電話と待つ電話の区別がされているのか。設置場所は確認されているのか、お尋ねします。
 特に、区の庁舎のようにPBXに収容されている場合、災害時優先電話の回線の直接捕捉が可能であるか。そして、職員が適正な使用ができるよう防災訓練時には徹底した周知を行っているのか、お尋ねします。また、防災無線や重要な出先機関とのホットライン等の複線も確保されているのか、緊急時にはすぐに使える状態にあるか、お尋ねします。
 次に、家族間での安否確認ですが、先に申し上げたとおり、災害発生直後は電話が輻輳します。災害が起こった際の安否確認は災害時の重要な電話がスムーズに使えるためにも一般の電話を自粛してもらえるのが一番ですが、家族の安否は気になります。そこで、NTTの災害対策室で災害用伝言サービスについて伺いました。
 このサービスは、災害発生により被災地への通話が増加し、つながりにくい状況になった場合、サービスが提供されます。災害時は、被災地内と全国から被災地への電話回線は混雑しますが、被災地から全国への発信回線、被災地外と全国間の電話回線は比較的余裕があります。すなわち災害用伝言ダイヤルは、安否情報等の伝言を比較的余裕のある全国へ分散させ、交通渋滞を例とすれば渋滞を避けた迂回先で伝言のやり取りをする仕組みであり、安否等の確認が比較的スムーズに行えるようになります。
 また、NTTの機械が伝言を中継しますので、避難等により電話に応答できない方々への連絡や停電、被災により自宅の電話が使えない場合の連絡が可能となるほか、呼び出しても応答のない電話が減少するなど、この面からも安否情報の伝達性向上が図れるとのことです。利用状況も新潟県中越地震では三十四万コールを超え、平成十年のサービス開始以来、九十五万コールの利用があったと伺っています。
 災害に対しては、一人一人が日ごろから十分な備えと高い防災意識を持ち続けることが大切ですが、中越地震の被災直後で区民の皆さんの災害への関心が高い今こそ、区民の皆様に災害時の家族の安否確認の一つの方法として区としてもお知らせしていくのはいかがでしょうか。例えば、毎月二十五日のすみだ家庭の日に災害が起こったときにそれぞれの役割や安否の確認方法を日ごろから話し合っていくことも大切だと考えます。また、事前に災害発生に備えて利用方法を確認できる体験利用が毎月一日に提供されています。墨田区で毎月一日に実施している墨田区防災の日を利用し、区民の皆様に体験利用をしていただくこともできると思います。区長のご所見をお伺いします。
 次に、学校における保護者と学校の災害時の連絡体制について久保教育長にお伺いします。
 私は現在、区立小学校六年生の母親で娘と二人暮らしです。平常、私は仕事に出ております。ほかの家庭の多くも共働きで、保護者が学校近くにいることはありません。また、学校選択制により自宅から離れた学校に通う生徒、児童もいます。このような状況下で災害時にどうやって連絡をとって、どこに子供を迎えに行けばいいのかというのは大変に重要な課題であります。
 しかしながら、現在の公立小学校のシステムでは、毎年九月一日に引取り訓練が行われ、保護者は学校に子供を迎えにきてくださいというだけで、災害時にいつまで学校で預かってくれるのか、一般の電話回線が不通になった際にどうやって連絡をとるのかについてのルールが全くできておりません。
 それは、現在の公立小学校の引取り訓練においてのルールが保護者の一方が働いていないということを前提とした運営になっており、保護者のほとんどが遠隔地にいるということを一切想定していない運営になっていることに起因しています。
 学校は、災害対策として、申し訳のように九月一日前後に災害訓練をするだけで、私のように勤めている母親や共働きの家庭は、災害時には実際には学校に来ることができないのに、訓練のために仕事を休んで学校に行き、一瞬サインだけをして帰ってくるというのが実態です。共働きの家庭が増えている今日、災害時交通が麻痺し、親が子供を迎えに行けない状態を想像した場合、保護者が迎えに行けない子供はどうなるのでしょう。
 先ほど、区長にも提案いたしましたが、一つの方法としてこうした事態に備え、学校と保護者の災害時の連絡手段の共通のルールとして、NTTの災害用伝言ダイヤルを確認しておくことが極めて有効であると考えます。
 東京都の教育長が各区市の教育委員会に、遠隔地にいる保護者との連絡手段とそのルールについて徹底すること、その際には災害用伝言ダイヤルが有効であり、それを使うように周知した通知が八月十日に各教育委員長あてに出されました。伝言ダイヤルを利用することによって、子供をいつまで学校で預かってくれるのか、何時まではどこに行けばいいのか、何時以降はどこに行けばいいのか、親は無事なのか、子供は無事なのか、一般回線が不通になっても連絡を取り合うことができます。同時に、東京都総務局が都民に災害時の伝言ダイヤルの使用を呼びかけていますが、教育委員会がこの周知をきちんとしていただけることによって、子供を持つ家庭全体に飛躍的に伝言ダイヤルの使用方法普及させることができます。親と子の安心と安全にとって教職員の負担軽減にとって、そして区民全体の災害対策にとって、都の教育委員会より出された通知が極めて有効な手段になると考えます。
 しかしながら、我が区の教育委員会では、都教委より出された通知をトップダウンで下ろすだけで、わざわざ通知文の中で「大地震などの緊急時の安否確認の一方法として活用について周知していただきたい」とあるにもかかわらず、学校現場から各家庭には何の周知もされていないのが実情です。町田市では、教職員への周知及び学校の体制づくりとして、伝言ダイヤルの録音担当に教頭を指名し、二学期早々に各学校より家庭あてに通知文を発行する等行われてきました。
 災害時の学校と保護者の連絡方法についての東京都教育委員会の通知文に基づき指導を徹底することを求めるものでありますが、教育長のご所見をお伺いします。
 関連でお伺いします。
 今回、都教委より送られた通知は、地震と安全の指導資料で地震発生時の児童生徒の安全を確保し、平素の地震に対する備えを確立することをねらいとして出されたものですが、実施機関は教育委員会であっても、防災に関しては情報提供程度でも防災課に知らせるべきではないでしょうか。この辺にもやはり縦割り行政の弊害があると考えます。災害が起これば学校は避難場所にも指定されます。何より多くの児童生徒の大切な命を預かっているところです。学校の防災については、日ごろより防災課との緊密な連携がぜひ必要ではないのでしょうか。見解をお尋ねいたします。
 以上で私の質問を終わります。
 ご清聴ありがとうございました。
    〔区長 山崎昇君登壇〕

◎区長(山崎昇君) ただいまの民主クラブ・阿部議員さんの防災対策に関するご質問に順次お答えをいたします。
 本区では、大地震の被害を最小限に抑えるため、発生時の初期行動として、区民の皆さん一人一人が自らの安全は自ら守る自助と、自分たちの地域は自分たちで守るという地域の連帯とふれあいのもとに地域ぐるみで協力する共助をお願いしております。特に、阪神・淡路大震災以来、被災各地ではコミュニティが活発化している地域ほどお互いの助け合いがあり、減災につながっております。
 そうした中で、災害弱者である高齢者や障害者の方々が被害に遭うことも多いことから、本区でも平成十二年度より地震などの非常災害時に、各町会・自治会の協力で障害者や寝たきりの高齢者等の安否の把握やサポートをお願いする災害弱者サポート隊事業を発足させたところでございます。
 災害弱者へのサポートについては、過日、公明党の加納議員さんや共産党の片倉議員さんへのご質問にもお答えいたしましたが、現在ひとり暮らしの高齢者や障害者の方々の現状把握は、区役所の各部課で行っているところでございます。そして、被災後に避難所での一般の生活を送ることが困難な場合は、災害弱者救護所又は特別養護老人ホームなどの設備が整った施設での対応を行うこととしております。
 しかし、ご指摘のようにコミュニティの希薄化が進む中で、災害弱者の情報は個人情報保護のための目的外利用の制限があり、慎重に取り扱う必要がございます。このため、今後ご提案のような方法も含め、地域防災活動拠点会議や町会・自治会などの活動を通じてサポートを自ら申し出ていただけるような、いわゆる手づくり方式の災害弱者対策を図ってまいりたいと考えております。
 次に、災害時の初動対策として、区内在住職員を増やすべきではないかということでございます。
 本区では、東海地震の注意報が発せられた段階で全職員の三割が、その後、警戒宣言が発せられた時点で六割が参集することになっております。また、震度五弱以上の地震が発生した場合は、全職員が参集することとなっております。
 しかし、勤務時間外では、このような対応を即時に確保することは難しいこともありますので、有事の際は勤務地から四キロメートル以内の職員及び八キロメートル以内の管理職を臨時非常配備職員として参集させる体制をとっております。さらに、業平職員住宅を防災待機職員住宅として位置付け、災害時への即応ができるようにしております。
 職員の区内居住につきましては、それに越したことはないところでございますが、個人の居住の自由との関係から強制することについては難しい点があることをぜひご理解をお願いしたいと存じます。
 次に、災害時優先電話についてでございますが、現在までに庁舎内のほか出張所も含めて約百八十台の電話について災害時の優先電話に指定し、ラベル表示するとともに、連絡継送システムを構築し、適切な対応が図られる仕組みとしてございます。
 重要な出先機関とのホットライン専用線につきましては、区の施設や警察署、消防署、医師会などに百七十九台の地域無線機を、また、区内全小学校と警察署、消防署等に四十五台の無線ファックスを設置するなどで対応を図っているところでございます。職員への周知は、災害時優先電話も含めまして、毎月一日の訓練や非常時参集訓練などを通して対応を図っているところでございます。さらに、毎年一回行っております災害対策本部の設置運営訓練においても、都、警察、消防などの防災関係機関の間で通信訓練を行っているところでございます。
 次に、災害時の家族の安否確認方法につきましては、本年八月に全戸配布いたしました「地域がつくる防災マップ」の裏面に災害時連絡カードの策定を紹介したり、地域防災活動拠点会議での災害時伝言ダイヤル一七一の紹介を行っているところでございます。今後、改正版の防災パンフレット「地震に備えて」を発行する予定にしておりますので、その中でも紹介をしていきたい、そのように思っております。また、NTTの毎月の体験利用についても、防災活動拠点会議等を通じて検討してまいりますので、ご理解をお願いいたします。
 私からのご答弁は以上でございます。
    〔教育長 久保孝之君登壇〕

◎教育長(久保孝之君) 阿部議員さんの災害時の学校の連絡体制に関するご質問にお答えをいたします。
 まず、学校の震災等の発生時の対応につきましては、東京都の「警戒宣言に伴う対応措置について」の通知に基づきまして、本区におきましては各学校におきまして、防災訓練を中心として下校時の安全確保の措置、残留児童生徒の保護方法、教職員の組織分担等につきまして、教職員及び児童生徒に対する防災教育を実施し、保護者に対する連絡の徹底を図っているところでございます。
 議員ご指摘のとおり、災害発生時、保護者の方が不在である場合もあるかと思います。各学校では警戒宣言が発せられた時点で、幼稚園の幼児、小学校の児童はあらかじめ定めた計画に従って保護者等に引き渡すこと、保護者等が不在の場合は、引き渡すまでは学校において保護すること、中学校の生徒につきましては、帰路経路等を確認してから帰宅をさせるといったルールを定め、安全確保に努めているところでございます。
 また、一七一災害用伝言ダイヤルの周知についてでございますが、ご指摘のとおり東京都教育委員会で発行されております防災にかかわる資料「地震と災害」の中で、一七一災害用伝言ダイヤルについて説明がございます。
 このシステムは、地震などの災害発生時に、安否確認などの対応として、NTTが設置をいたします声の伝言板であり、このシステムを使えば学校が録音した伝言を保護者の方々が聞くことによって子供たちの安否確認をすることができるというものでございます。
 教育委員会といたしましては、本年八月十二日付け通知文書におきまして各学校に趣旨も含めて周知しているところではございますが、ご指摘のとおり個々の保護者の皆様への周知が徹底していないようでもございますし、先月、新潟県で大きな地震があった際、こうした点についても何度もテレビ放映等されておりましたので、改めて保護者の方々への連絡等も含めて各学校へ校長会等を通じて指導してまいりたいというふうに思います。
 また、防災課との連携についてでございますが、子供たちが参加をする防災訓練や学校を会場とした地域ぐるみの防災訓練につきましては、防災課と緊密な連絡をとり、必要に応じて校長会等で直接防災課長から各校へ連絡をしているところでございます。ご指摘のありました教員が子供たちへ指導する際の指導資料等につきましても、今後、情報提供を密にし、防災課との連携を強めてまいりたいと考えております。
 私からは以上でございます。

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