◆12番(阿部喜見子君)
民主クラブの阿部喜見子です。先に通告してあります3点について、山崎区長に質問いたします。
質問に先立ち、5月27日に発生しましたインドネシア・ジャワ島中部の大地震で被災された方々に心からお見舞い申し上げ、一日も早い復興をご祈念申し上げ、質問に入ります。
初めに、アスベスト対策について伺います。
昨年6月に、アスベストが原因の病気が、工場で働く人だけでなく周辺住民にも広がっていたことが報道され、社会に大きな影響を与えました。今年3月には、被害者救済を目指す新法が施行されるなど対策が進められています。そこで、墨田区のアスベスト対策についてお伺いします。
これまで墨田区からは、公共建物に対する調査・対策について報告を受けています。また、民間の建築物1,000㎡以上についても国土交通省からの依頼で調査が行われています。第1回の定例会の中での答弁で、1,000㎡未満の建築物の実態調査については国で検討していることから、墨田区としても対象面積を引き下げた調査を行いたいとありましたが、具体的にどのような調査をされるのか伺います。
現在、建築物のアスベストに対して、労働者の健康保持の観点からは、労働安全衛生法・石綿障害予防規則により使用段階から解体段階までの規制が行われています。また、住民の生活環境保全の観点からは、大気汚染防止法・東京都環境確保条例による規制が行われていますが、これらの規制は、対象施設や対象建材が限定されているのが現状です。国レベルでは、大気汚染防止法の適用範囲が改正されたところですが、建築物の使用段階・解体段階におけるアスベストの飛散防止対策として必ずしも十分とは言えません。アスベストによる被害は、発症までの潜伏期間が20年以上と長いことから、今、私たちが問題に取り組むことは、将来の子供たちの被害を防止することにつながります。
私たちは、身の周りのアスベストをよく知り、アスベストの粉じんが発生しやすい建物の改修・解体工事の際のアスベスト対策について、業者に十分説明を求める必要があります。これまでは、行政は主に物質の毒性や危険性などを評価するリスクアセスメントや対策を立てて実施するリスクマネジメントを担ってきましたが、今後は、業者による情報公開、行政、住民の参加でリスクコミュニケーションを図ることでリスクを最小化することが重要ではないでしょうか。
墨田区でも今年の3月から墨田区建築物解体工事等の事前周知に関する指導要綱を制定されました。しかしながら、要綱はあくまで法的拘束力を有するものではないので、国の規制強化に併せて、建築物に使用されているアスベストの飛散防止対策の強化・充実を図り、区民の健康や生活環境の安全を確保するためにも、墨田区アスベスト飛散防止条例を制定するお考えはないか伺います。
次に、防災対策について伺います。
これまで本会議において、帰宅困難者の対策や学校における災害時の安否確認に、災害時伝言ダイヤル171の利用を提案してまいりました。阪神・淡路大震災から10年以上が経過しますが、区における地震対策にこの教訓をどのように反映しているのか伺います。
墨田区では、従来の不燃化対策から「燃えない、壊れないまちづくり」に加えて、平成17年度から新防災対策も実施されています。さらに、墨田区復興基本条例も策定され、災害に強いまちづくりに取り組んでいると仄聞しています。
阪神・淡路大震災では、マスコミが倒れたビルや崩壊した高速道路、避難所生活を余儀なくされた人々の様子は伝えられましたが、トイレのせっぱ詰まった状況を報じたメディアは極めて少なかったと記憶しています。仮設トイレの設置が避難者100人に1基の割合に達したのは、大震災発生から2週間後、最終目標数である60人に1基に達したのは1カ月を過ぎてからだと聞いています。また、新潟地震では、寒い時期の被災のためトイレの問題は大変深刻なものだったと伺いました。墨田区からの救援物資で、携帯トイレや紙おむつは現地の方に大変喜ばれたとも聞いています。
各自治体でもこれらのことを教訓に、トイレ対策の充実としてプールの水を活用する避難所トイレ施設や地下埋設型トイレ、マンホール対応トイレの設置等があると伺っています。墨田区での災害時のトイレの対応について伺います。
次に、首都直下型地震の際に大量の帰宅困難者が想定されていますが、特に大企業のオフィスや官庁が集積する千代田区や周辺の文京区では、帰宅困難者に被災者の救援に努めてもらうことを盛り込んだ災害対策の条例が制定されました。交通機関の寸断で帰れなくなるサラリーマンに協力を求める条例ですが、政府中央防災会議では昨年、帰宅困難者を被災者としてではなく、地域救援活動の戦力になり得るとの観点から検討するとあります。大規模な災害が発生した場合、その災害が大きければ大きいほど、公的な救援、すなわち行政、消防、警察、自衛隊等が及ぶまでに時間が掛かることは、阪神・淡路大震災の例を見れば明らかです。
墨田区として、帰宅困難者を地域の救援活動の戦力としてどのように対策を講じられるのか伺います。
平常時から、それぞれの家庭や地域社会、企業、団体に防災に対する一定の知識を持った人が配置され、防災意識の啓発に当たるほか、大災害に備えた活動等の訓練に取り組んでいれば、消火・救助の空白期間の短縮ができ、有効・適切な防災体制を築くことができます。
そこで、地域の防災・救援活動のリーダーの担い手として、防災士の活用について伺います。
現在、地域では消防団の皆様が活躍されています。消防団活動も消火から防災へと基軸を移した活動に変わりつつあります。ボランティアで知識・技能を日々訓練している消防団員は、防災士としても立派に活躍できると思いますが、帰宅困難者を地域救援活動の戦力と考え、一つの方法として、墨田区として防災士育成について取り組むお考えがあるか伺います。
防災士は、阪神・淡路大震災で家屋の下敷きになった人々の救出作業を近隣住民が担ったことを踏まえ、住民の初期対応力を高めるために創設された民間資格です。既に、世田谷区や福岡市などが養成事業を始めています。現在、全国で1万人を超え、都内では1,300余人の方が防災士の認証を受けています。今後は、消防団や地域のボランティアとの役割分担を明確にし、公的な機関が被災地に着くまでに、まず地域にいる人が対応することが求められているのではないでしょうか。
最後に、ひとり暮らしの高齢者世帯の孤独死の問題について伺います。
都内の都営住宅、都市再生機構の賃貸住宅のひとり暮らし世帯で、2004年度中に410人が自宅でだれにもみとられずに孤独死していたことが報道されました。この数字は、東京では毎日1人以上が孤独死している計算になります。このうち8割近くは65歳以上の高齢者で、民間の賃貸住宅等を含めるともっと多い数字になると言えます。また、遺体発見までの日数は約6.8日。4割近くは死亡翌日までに発見されていますが、約2割の67人が1週間以上かかったと言われています。中には3カ月放置されていたケースもあったようです。
墨田区でも、過去にひとり暮らしのお年寄りを対象に「おはよう訪問」という安否確認をする制度があり、ひとり暮らしのお年寄りに対し最適な制度だったと思いますが、高齢者の増加や財政負担等で廃止になったと伺っています。この制度の復活は不可能だと思いますが、何らかの対策を講じる必要があるのではないでしょうか。
先日、過去2年の墨田区内での孤独死の件数の報告を求めたところ、孤独死については把握していないという回答をいただきました。これだけ社会問題になっている中で、区として問題があるのではないでしょうか。高齢者の孤独死を私が確認できた範囲でも、文花団地・白鬚団地でも数件は確認できています。そのほかにも、都市整備局でも墨田区の居室内単身死亡者が7人あったと報告を受けました。
区として、警察等関係部署に協力を依頼し、実態をしっかりと把握し対策を講じる必要があるのではないでしょうか。今後、どのような方法で実態を把握し対策を講じられるのか、ご答弁をお願いします。
阪神・淡路大震災の仮設住宅でも注目されたように、孤独死は、地域コミュニティが弱ったところで起こっています。高齢化の進展でコミュニティバランスが低下し、地域社会の維持が困難となり、かつてのファミリー層が暮らした東京の団地のコミュニティは、今は機能していないことを浮き彫りにしているのではないでしょうか。
一方、都市生活の魅力で、他者から干渉されず個人の好みのライフスタイルを維持できる点もありますが、これほど多くの孤独死を許してまで個の生活を重視することは問題があると思います。都会では、防犯面からオートロックのマンションが増え、個人情報保護を理由に名簿等も作成できないのが実態です。また、詐欺などに遭った高齢者は、地域社会から取り残された孤独に悪徳業者がつけ込んだようなところもあります。
コミュニティの力が弱まったとき、真っ先に犠牲になるのが高齢者です。コミュニティを維持する力は近所付き合いであり、他者への関心です。ひとり暮らしをするお年寄りの安否を地域ぐるみで見守る必要があるのではないでしょうか。
また、昨年12月の公営住宅法の改正で、収入超過者にかかわる家賃制度が合理化され、公営住宅に入居できる世帯は、低所得者や年金で生活しているお年寄り世帯が中心になってしまいます。公営住宅の性格上、収入のある世帯は退去せざるを得ないのは仕方がないことですが、これでは、ますます公営住宅の高齢化に拍車をかける結果になってしまいます。
昨年12月末に国土交通省住宅局より各都道府県あてに通達が出され、その中に、高齢化が進展しコミュニティバランスが低下してきている問題を受け止めて、住宅の維持管理や地域社会の維持が困難な公営住宅で、子育て世帯などの優先入居やみなし特定公共賃貸住宅の積極的活用が示されています。まず、高齢化が深刻な公営住宅の対策の一つとして、行政は、公営住宅がバランスの取れたコミュニティとして形成できるよう努めなければならないと思います。
昨日の都議会の本会議において、民主党は住宅政策について質問し、その議論の中でも、公営住宅におけるコミュニティバランスに配慮することが必要であることが確認されています。都としては、その点については、地元自治体が幅広い観点から調査を進めていくことが望ましいとの答弁があったと聞き及んでいます。
区としても、都営住宅の建物の管理は都が行うとしても、都内の都営住宅に住んでおられる人たちは、間違いなく区民であり、区民のコミュニティが健全に維持できるよう努力していく必要があると思います。区長の明快な答弁を求めます。
以上で私の質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)
〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君)
ただいまの民主クラブの阿部議員さんのご質問に順次お答えを申し上げます。
まず最初に、アスベスト対策に関する幾つかのご質問がございました。
昨年度、国土交通省から延べ面積1,000㎡以上の民間建築物につきまして調査依頼がございまして、実施したところでございます。国は、延べ面積1,000㎡未満の民間建築物につきましても、引き続き実施していきたいということでございましたが、それ以降、現在のところ調査依頼がない状況でございます。しかし、区といたしましては、今年度に調査対象の延べ面積を引き下げ、500㎡以上1,000㎡未満の民間建築物につきましては、まずは有償の調査ではありますが、露出した吹付けアスベストの実態調査を実施させていただきたい、そのように考えております。
次に、アスベスト飛散防止条例の制定についてでございます。
アスベストの健康被害が社会問題となり、関係する法令等が改正された中で、アスベスト対策に関する区民や事業者等の関心は高くなってきていると考えております。本区では、このような状況を踏まえまして、区民にアスベストに関する正確な情報が伝わるように、本年3月に建築物の解体工事等の事前周知に関する指導要綱を適用したところでございますが、指導要綱の適用以降のアスベストに関する申請は数件でございますので、現段階でその効果を検証するのは難しい状況にあります。しかしながら、事業者が指導要綱に基づき、アスベスト撤去工事の内容や飛散防止措置の概要等を説明することによりまして、ご指摘のリスクコミュニケーションが深まってきているものと考えております。
従いまして、当面は、新たな条例を制定することではなく、この指導要綱に基づきまして、状況に応じた適正な行政指導を徹底することによりまして、事業者等に対する説明の責任を啓発して、安全な生活環境の確保に努めてまいりたいと考えております。
次に、防災対策につきまして3点のお尋ねがございました。
まず第1点目は、災害時におけるトイレの対応についてでございます。
阪神・淡路大震災や新潟県の中越地震での避難所生活対策の反省として、これまでは、食糧や水あるいは毛布などの寝具類の確保に重点が置かれておりましたが、避難所で安定的に健康を維持するためには、むしろトイレの確保が重要だとの指摘がなされております。
さらに、先ごろ3月に東京都が発表した「首都直下地震による被害想定」では、当区の避難者は現在の想定数よりも増大するとされておりますので、避難所のトイレ対応は、さらに重要な課題として取り組む必要があると考えております。
本区の現在の主な対策といたしましては、避難所として想定される各小中学校に、組立式の仮設トイレ350基や排便収納袋10万枚を備蓄しております。また、白鬚東防災拠点には、災害時に簡易トイレを43基増設できるよう東京都が整備しているほか、一般区民向けの携帯トイレのあっ旋もいたしております。
また、マンホール対応トイレにつきましては、既に幾つかの区で整備を進めている例もありますが、東京都においては、こうした設備のために避難所周辺の下水道管の耐震化を進めていると聞いております。本区におきましては、地震の際の大きな揺れと液状化現象により下水道管に大きな被害が発生する懸念もありますので、こうした東京都の下水管への対策も見ながら、この下水道を活用したトイレ対策を講じてまいりたい、そのように考えております。
いずれにいたしましても、災害時におけるトイレの対応は重要な課題でございますので、東京都の首都直下地震の被害想定に基づきまして墨田区としての基本対策を計画化することといたしておりますので、その中でさらに充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、帰宅困難者を地域救援活動の戦力とするための対策についてでございます
。
先ほどの東京都の被害想定では、本区においても帰宅困難者は約5万8,000人に及ぶとされており、このための対策は、いわゆる都市型災害対策として重要な課題でございます。
阿部議員さんのご指摘のように、国の首都直下地震対策大綱では、一どきに大量に発生する帰宅困難者について、これらが一斉に帰宅行動に移ると大混乱となりますので、各企業や関係機関等が従業員や顧客などを一時収容するとともに、同時に、各地域における支援活動等に協力するよう求めております。私も、こうした取組みは大変重要と受け止めております。
そうした中で、東京都におきましては、先月に開催された東京都防災会議におきまして、民間事業者と連携した地域の総合的防災力の強化を目指して、東京都の地域防災計画の見直しを進めることとしております。
本区におきましても、これまで多くの区内企業者や団体等と防災対策に関する支援協定を結んできております。しかし、今後は、こうした国や東京都の動向も踏まえますと、新たな帰宅困難者対策を中心に、さらに区内の事業所との連携を強化する必要がございます。従いまして、区内の事業者等には、帰宅困難者の一部を独自に収容するための食糧を備蓄したり、即座に地域支援に入れるよう、日ごろの地域での防災訓練に参加するなど具体的な支援や協力がいただけるよう、パンフレットの配布や区の広報ツールを活用いたしまして積極的に呼びかけをしてまいりたいと存じます。
3点目は、地域救援活動の戦力として防災士の育成についてお尋ねがございました。
災害時には、まず自助、共助の視点に立った活動が基本になりますが、その際には、当然ながら防災に対する知識や技能を身に付けたリーダーの存在が心強い戦力になります。本区では、そうした各地域の住民防災リーダーを担っていただくために、平成5年度から住民防災組織育成研修会を毎年開催いたしております。これまでも、町会や自治会の役員の方々や区民消火隊や消防団の方々などに多くの参加をいただき、地震のメカニズムや住民防災組織の意義などを受講していただきました。また、最近では、AED(自動体外式除細動器)の普及化に伴いまして、災害要援護者サポート隊員などを対象に、専用の救命講習も実施したところでございます。
こうした防災リーダーは、各地域に手厚く、しかも広範に確保されることが望まれますので、今後の取組みを強めながら、ご指摘にありました帰宅困難者もこうした受講対象に加えて、防災士の育成について対応してまいりたい、そのように考えております。
次に、高齢者の孤独死対策についてでございます。
まず、区として実態をしっかりと把握し、それに応じた対策を考える必要があるのではないかというお尋ねでございます。
ご指摘のとおり、孤独死の実態についでございますが、その定義がなかなか難しい面もあり、これまで十分把握できていなかったのが実情でございます。しかし、ひとり暮らしの高齢者に異変があった場合、早い段階で他人の適切な介護があれば救命できるケースも往々にしてあるかとも存じますので、今後は、民生委員、各地域包括支援センター、町会・自治会、警察署等から情報を得て、適切な把握に努めてまいりたいと存じます。
そういった中で、区はこれまで、ひとり暮らしの高齢者の安否確認のための電話訪問事業や配食サービス事業を行うほか、町会・自治会、老人クラブなどにご協力をいただいて友愛訪問事業の実施、民生委員の方々に毎年ひとり暮らしの高齢者の実態調査を行っていただくなど現状の把握に努めてきたところでございます。さらに、今年度からは、これまでの事業と併せまして、高齢者見守りネットワークを構築し、ひとり暮らし高齢者の見守りを強化することといたしたところでございます。これは、各地域包括支援センターを核として、民生委員、新たに募集する地域の協力員、町会・自治会、そして社会福祉協議会と連携をとりまして、地域で孤立しやすいひとり暮らし高齢者に対しまして、見守り活動を通じて、地域住民が住民同士で支え合えるネットワークづくりを目指すものでございます。
今後も、新聞販売所や牛乳販売店等に協力を依頼いたしまして、一人でも多くの目でひとり暮らしの高齢者の安否確認を実施していきたいと存じます。
最後に、公営住宅の居住者の高齢化によるコミュニティバランスの低下に対するお尋ねでございます。
現在、区営住宅等の入居者に占める高齢者世帯は増加をしている状況にございまして、コミュニティバランスに配慮した対策は、大変重要であると存じます。しかし、区が供給管理をしております小規模で戸数の少ない住宅において、コミュニティバランスに配慮した子育て世帯の優先入居はなかなか難しいのが実情でございます。しかし、大規模な団地型の住宅を供給している都営・都民住宅では、そういったことも十分可能でございまして、空き家等の募集に際しまして、コミュニティバランスに配慮した対応を求めてまいりたいと存じております。
以上で答弁を終わらせていただきます。




